ゴールデンラジオ
私は、ラジオをよく聴く。テレビをつけると、タレントがはしゃいでいるだけのヴァライティ番組があまりに多いからである。つまり、騒がしい。
ラジオで、いちばんよく聴くのは、月曜日~金曜日午後1時から3時半までの文化放送「大竹まことゴールデンラジオ!」。
大竹まことは私と同い年だが、つかこうへい亡きあと、我われ団塊の世代で、もっとも共感できる数人のうちのひとりである。エライヤツはワルイヤツだぞ、正論を言うヤツはヤバイぞ、だって、しょせん人間なんて、というスタンスを根本に感じるからである。
そこは、テリー・ナントカとは似てもって非なるものと言いたい。“大竹まとも”と応援したいくらいなのである。
あと聴くのは、毎月最終日曜日の午後0時15分から2時までのNHK-FM「日曜喫茶室/ はかま満夫」。これは、この番組が始まった33年ほど前から、私はよく聴いている。いまは月に1回になってしまったが、やはりラジオ本来のサロン的会話としてのおとなの娯楽としてたのしい。
そして、NHKの「ラジオ深夜便」。寝つかれない夜、そして酔っぱらって眠って、また起きたときによく聴く。ラジオのスイッチを入れると、落ちついた中年アナウンサーの声とともに西田佐知子やちあきなおみの歌が流れてくる。ときどき、しみじみとしたインタビューを1時間ほど聴けることもある。ラジオとはこういうものだったな、とおもわせてくれる普遍性がある。
それで思い出したことがある。1971年、移民船「あるぜんちな丸」で私はアメリカに渡った。21歳だった。英語はひと言もわからなかった。イエスタデイとトゥモーローの区別も定かではなかった。そのとき、私はソニーのトランジスタラジオをリュックに入れていた。ロスアンジェルスの1泊10ドルの安宿に着いて、ラジオのスイッチを入れると、「セックス」「セックス」という言葉が大声で連呼されていた。これだ、ここは、そういう国なのだ。ついに来たぞ、コンニャロメ!
新大陸を発見したコロンブスと同じ気分であった。
「さすが、アメリカ!」「これぞ、アメリカ!」「ヤッホー!」
しかし、その後、すこし英語がわかるようになって知った。
「セックス」というのは、「シックス」のことなのだった。
ラジオで、若い女性が「この問題をとり上げるのは、これで6回目(セックス・タイムズ)です」というのを聴いて、私はかってに興奮していたのだ。
「SEX」と「SIX」の発音は、ほぼ同じなのだ。どちらも日本語の発音で「セックス」である。私は、そのふたつの言葉をアメリカ人に何度も発音してもらったが、そこに差異は見いだせなかった。彼らも、「たぶん、違わないとおもうよ」と言うだけだった。
それはともかく、ラジオには3Dというつまらない映像の流れとは正反対の、イマジネーションの遊ぶことのできる、より深い世界がある。
例えば、未明に、釣り場へ一人車を走らせている時などに、カーラジオから昭和歌謡が流れてきた時は、孤独感と暖かさがない交ぜになったような不思議な気持ちになります。当時まだ子供で歌詞の意味も分からなかった歌が、やたらと心に滲みるのです。
by ブルーライト横浜 (2010-11-14 23:22)
そーかー。ラジオがあったかぁ。
忘れてたなぁ。
ついつい目に見えるものばかり、
追いかけていていました。
by TAGOSAKU (2010-11-15 01:41)
私は毎日、通勤渋滞で2時間半もの時間を車の中で無駄に過ごしています。その間に聴いているのがベルギーのラジオ局。ローリングストーンやwho、Janis Joplin.Led Zeppelin,..やらと私たちがティーンの頃に聞いていた音楽の専門局「21世紀のクラシック」です。孤独な車のなかでSatisfaction を大声でハミングしていて、ふと気がつくと後ろの車のちょっとはげかかりの運転手も私と同じように大声で絶叫しているのがバックミラーに映っていたりして。
深夜放送を親に内緒で聞いていた時のころが懐かしくなる....21世紀のクラシックです。
by 真美 (2010-11-15 09:11)
大学生の時に住んでいた寮でJ-Waveから流れたキヨシローの『トランジスタ・ラジオ』。両隣の部屋からも同じ音楽がボリュームアップして聞こえてきました。聞いたことのないヒット曲! ヒットヒットベイビー♪
おっしゃるとおり、TVよりもラジオの方がイマジネーションが膨らみますね。動画より写真。いちばんイマジネーションを刺激するのは言葉かもしれません。
by pescador (2010-11-15 11:33)
私もラジオが大好きでいつも聞いています。
大竹まことの番組もほぼ毎日。
深夜の中波はレア音源でいっぱい。
わーお、30年ぶりに聴いた、なんて曲ががんがんかかります。
楽しいですよ。
by いろり村村長 (2010-11-15 12:14)
かつてラジオ深夜便に「こころの時代」という渋い番組が午前4時のニュースの後にありましたねェ。当方の所感では、深~い話をしみじみ語る出演者が多い中で、例外なくつまらなかったのは僧侶が出演する日でした。「お前に言われたくねぇよバーカ」とつぶやきつつ即スイッチを切ったものです。そんな日は、もしかしたら、「オメエみてえな生臭坊主の尤もらしいヘボ説教なんぞ朝一番に馬鹿馬鹿しくて聞いてられるか!」という軽蔑の呟きが全国の枕辺で発せられていたのかも。。。
by アンダルシアの犬 (2010-11-15 19:24)